management&design

経営に役立つデザインの情報を紹介します

デザインの投資効果判断の方法

 

 

  • はじめに
  • 報告書の中身
    • 調査の概要
    • 投資効果判断について
  • まとめ

はじめに

 少し前のデータになりますが、2016年3月31日に経済産業省の調査報告書「デザインの活用によるイノベーション創出環境整備に向けたデザイン業の実態調査研究」が公開されました。

http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2016fy/000998.pdf

 全体的な内容に関しては、筆者作成の「過去作成レポート」で参考文献としていた「デザイン導入の効果測定等に関する調査研究(2006年3月)」の最新版といった内容です。

 ただし、今回の2016年版報告書には2006年の調査にはなかった新しい項目が追加されています。それはデザインの投資効果判断に関する項目です。過去作成レポート」でもデザインの必要性や意義に関しては論じることができましたが、企業へのデザイン導入の判断基準となる、効果指標・測定に関しては明確な対策を記載することができませんでした。

 そのため、今回は同報告書の投資効果判断に関する項目に関して記載していきます。

 

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中小企業とデザイナーの協業の注意点

 

 

はじめに

 先日2017年1月25日、公益財団法人日本デザイン振興会が企画・運営する「東京ビジネスデザインアワード」の最終審査が行われ、私も審査の様子を見学させてもらいました。

www.tokyo-design.ne.jp

 当アワードは都内の中小製造業とデザイナーをマッチングする提案コンペ形式の企画です。審査員の方々はいずれも第一線で活躍されている方々で構成されており、今年も非常にハイレベルな事例が多く見られました。

 また、当企画は募集・コンペから表彰までのスキーム非常に良く練られており、中小企業とデザイナーの協業を考える際、非常に参考になる内容が多くあります。

 この企画がどのような経緯でつくられたのかに関する論文が、日本デザイン振興会H、P内で公開されているため、今回はそのことに関して触れたいと思います。

 

【中小企業とデザイナーのマッチング事業モデルに関する研究】

https://archive.jidp.or.jp/ja/activities/study_on_bmefm_smes_d2014rev2.pdf

 

 

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東京都内のデザイン関連支援機関まとめ

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 今回は東京都内にあるデザインに関係した支援を行っている行政関連機関をまとめます。

 

 

 

東京都中小企業振興公社

都内中小企業を対象に幅広く経営支援を行う、東京都の外郭団体。

基本的にほとんどのサービスは都内の中小企業であれば無料で受けることができます。

デザイン支援に関しては、プロダクトデザインを中心としたものが多い傾向にあります。

 

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中小企業経営におけるプロダクトデザインの有効性とそれを高めるコーディネーターの必要性

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 複数回数にわたって過去に作成したレポートを公開してきましたが、それぞれの記事のリンクの一覧を公開します。こちらから見れば、それぞれの記事にアクセスしやすいと思います。

 また、google driveにアップロードしているPDFファイルのリンクを記載しておきますので、興味のある方はアクセスしてみてください。読み取り専用で、コピーなどが可能だと思います。

 

drive.google.com

 

  •  各章記事へのリンク

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第四章 結論 残された課題

 

 

 

第四章 結論 残された課題

4.1 結論

 本論文での結論としては、今まで見てきたとおり、デザインの経営に対する効果のポテンシャルは高く、それを最大限に引き出すためにはデザインコーディネーターとしての中小企業診断士が必要不可欠ということである。

 本論文での作成を通して見えてきたこととは、企業側とデザイナー側の相互理解が足りないがために、デザイン導入化効果の本来のポテンシャルが一般的に認識されていないということに尽きる。企業側ではデザイン導入の手順やデザイナーとの関係性をどう構築するかというノウハウがない。デザイナー側では企業、とりわけ中小企業経営の実態を詳細には理解していないことが多い。

 その相互理解不足を埋め、デザインの効果を100%引き出すための具体的内容が、本論文2章で示した導入時の成功要因であり、3章で示したデザインコーディネーターに求められる能力である。

 この企業とデザイナーの相互理解不足は、まさに経営へのIT導入における、企業とITベンダーとの相互理解不足と同様の物である。デザイン、ITともに、経営に活かすことができれば強力な競争優位を確立できるツールだが、その導入方法は一長一短ではなく非常に高度な知識とノウハウが求められる。

 やみくもに導入を進めても成功することはほぼ無いといっていいだろう。導入に失敗し高額な投資を無駄にするくらいなら、ある程度の費用をかけてコーディネーターを雇い、成功確率を上げたほうが合理的と言える。

 デザインコーディネーターの存在が、企業経営での新たな競争力の源泉としてのデザインの普及に繋がるものと私は考えている。

 デザインが停滞する日本経済の牽引役の一つとなることを期待する。

 

4.2 残された課題 デザイン導入の数値的効果検証

 残された課題としては、デザイン導入の数値的効果を如何に検証するのかという点である。デザインコーディネーターには、企業とデザイナーの橋渡し役だけでなく、企業側に対するデザインの必要性を啓蒙する役割もあることが望ましい。その際、企業に対する一番効果的な訴求方法は、デザイン導入例の数値的効果を明示することであろう。

 デザイン導入の効果を数値化しようという試みは、これまでも模索されてきたことではあるが、実用的な仕組みは未だ確立されてはいない。今回本論文を作成する過程の中で、筆者の中小企業診断士に関連する知識を活かし、数値的効果検証の足掛かりが画ければと考えていたが、本論文ではその具体案を示すには至らなかった。

 しかし、数値的効果検証方法の模索はデザイン導入に関しては避けて通れない点であり、今後もその方法案は模索していきたいところである。

 

参考文献

経済産業省 日本のデザイン政策の変遷

http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/human-design/policy1.html

近畿経済産業局「近畿におけるデザインビジネスの活性化方策に関する調査報告 2008年」(11p~63p)

 

日本政策投資銀行 「デザインイノベーションによる関西企業の高付加価値化戦略 2013年」(3p~6p)

 

産業研究所「デザイン導入の効果測定等に関する調査研究 2006年」

(10p~33p 103p~120p)

 

木全 賢 井上 和世『中小企業のデザイン戦略』PHPビジネス新書 2009年

(38P~122p)

 

特定非営利法人 ITコーディネーター協会「ITC実践力ガイドラインver.1.0 2010年」(14p~19p 26p~29p)

 

公益財団法人日本デザイン振興会 「第一回意識調査 2007年」

http://www.jidp.or.jp/archives/res/0801/index.html

 

経済産業省「生活者の感性価値と価格プレミアムに関する意識調査 2006年」(5p~16p)

 

財団法人 知的財産研究所 「企業の事業戦略におけるデザインを

中心としたブランド形成・維持のための産業財産権制度の活用に関する

調査研究報告書 2011年」(48p~58p 66p~71p 84p~111p 351p~357p)

 

経済産業省 企業法制研究会 「ブランド価値評価研究会報告書 2002年」

(21p~44p)

 

特許庁 「ものづくり中小企業のための意匠権活用マニュアル2008年」

(1p~23p)