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デザインと中小企業経営を繋ぐブログ

2018年度東京ビジネスデザインアワード結果まとめ

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はじめに

  先日東京都が主催し、日本デザイン振興会が運営する「東京ビジネスデザインアワード」が開催され、受賞結果がWEB上にアップされました。このアワードに関しては、中小企業がデザインを導入するにあたり非常に良い仕組みであることを過去に本ブログでも触れています。

 今回は2018年度の受賞内容をまとめていきます。

 

 

東京ビジネスデザインアワードとは?

www.tokyo-design.ne.jp

「東京ビジネスデザインアワード」 は、
東京都内のものづくり中小企業と
優れた課題解決力・提案力を併せ持つデザイナーとが
協働することを目的とした、企業参加型のデザイン・事業提案コンペティションです。

ものづくり中小企業が持つ高い技術や特殊な素材を
コンペティションの「テーマ」として募集、審査を経て選定します。

選定された「テーマ」に対して、
新たな用途の開発等を軸とした事業全体のデザインを
「提案」 としてデザイナーから募集し、
優れた事業提案の実現化を目指します。

審査は、企業からの「テーマ」、デザイナーの「提案」ともに、
有識者からなる審査委員会を設置しおこないます。

「テーマ」 と「提案」のマッチングが成立した「テーマ賞」受賞提案については、
製品開発や知財対策に関するアドバイス等をおこない、
都内ものづくり中小企業による事業化・商品化への支援をおこないます。

主催:東京都
企画・運営:公益財団法人 日本デザイン振興会

 

 

design-management.hatenablog.jp

 

受賞企業について 

 東京ビジネスデザインアワードのHPで、本年度の受賞結果が公表されています。

受賞発表 | 東京ビジネスデザインアワード

 最優秀賞1社・優秀賞2社という結果でした。受賞企業のテーマ(事業内容)・インタビューが、日本デザイン振興会のHPやyoutubeに掲載されているため、受賞企業ごとにリンクを掲載しておきます。

最優秀賞:株式会社技光堂

テーマ賞7:「立体視・金属調印刷物」を唯一無二の素材にするための事業提案 | 受賞発表 | 東京ビジネスデザインアワード

www.youtube.com

www.jidp.or.jp

優秀賞:東洋工業株式会社 

テーマ賞3:灯りと香りで想いを伝えるアロマキャンドルプロダクト | 受賞発表 | 東京ビジネスデザインアワード

www.youtube.com

www.jidp.or.jp

優秀賞:GRASSE TOKYO株式会社

テーマ賞9:香りの魅力を楽しく学ぶプロダクトの提案 | 受賞発表 | 東京ビジネスデザインアワード

www.youtube.com

www.jidp.or.jp

 

テーマ賞受賞企業8社一覧

 上記3社以外にもテーマ賞を受賞した8社が同アワードのHPに掲載されています。それぞれの傾向をみるため、スプレッドシートに一覧化を行いました。(掲載内容は企業HP等から引用しています。2019/3/5時点) 

 ※枠の長さの関係で少し見づらくなってしまいました。

 

会社名 主要事業 資本金 テーマ デザイナー 審査コメント
株式会社エージーリミテッド 製造業、小売業、受託開発ソフトウェア業 HP掲載無し 着脱のしやすさと密着強度を兼ね備えた「ファスニング技術」 / 株式会社エージーリミテッド(港区)
静電植毛を施した物体同士がくっつき合うファスニングの特性を活用した、子どもから大人まで楽しめる「マインドフルネス玩具」の開発とビジネスモデルの提案。
德田周太(プロダクトデザイナー
千葉大学工学部デザイン学科を卒業後に関西のメーカーにて4年間、プロダクトデザイナーとして商品企画・開発に従事した後、広告代理店にて戦略プランニングの仕事に就く。会社員として働く一方で、個人活動として国内の企業と連携して、新規事業の立案や新商品企画・デザインに携わっている。
 
GLASS-LAB株式会社 砂切子の企画・製作・販売
カスタマイズグラスの企画・製作・販売
ガラス製品への切断・磨き・平切子・穴あけ・江戸彫り(サンドブラスト)加工全般
オリジナルガラス製品の企画・製造
オリジナルデザイングラスの製造・販売
ガラス製ノベルティの企画・制作
ガラス製品の販売
  “平切子”と“サンドブラスト”を掛け合わせた「特殊硝子加工技術」 / GLASS-LAB(江東区
平切子とサンドブラストの高い技術力を最大限発揮しながら、モアレを表現方法として用いた硝子プロダクト。今までにない体験型ギフトとビジネスモデルを提案。
水島 由季菜(プランナー)
北海道教育大学芸術美術課程卒業後、2008年に凸版印刷(株)に入社。入社後は企画部門に所属しプランナーとして、大手メーカー・サービス業に対して、商品やサービスの市場調査、商品企画、コーポレートコミュニケーション、ブランディング、広告、プロモーションを手がける。現在は凸版印刷の新規事業開発部にて、新事業創出のための潜在ニーズの開拓や新しいビジネルモデルの開発に力を入れている。

清水 大輔(デザイナー)
多摩美術大学プロダクトデザイン専攻を卒業後、(株)GKデザイン入社。大手メーカーのブランド戦略、商品企画調査 からデザインまで経験。「SHIMIZUDESIGN」開業後、グラフィックからプロダクト、空間など、幅広い分野で「ココロにノコル、デザイン」をモットーに普遍的でありながらあたらしいライフスタイルをデザインしている。
 
東洋工業株式会社 キャンドル製造業
ウエディング演出事業
フレグランス事業(グループ会社 GRASSE TOKYOによる)
葬祭事業
非常時・緊急避難用品
2700万 ワックス(ロウ)のブレンドにこだわった「キャンドル製造技術」 / 東洋工業株式会社(江東区
アロマキャンドルとメッセージカードの組み合わせによる郵送できるポストカード型キャンドル。新しいコミュニケーションツールとしての提案。
中村知美(グラフィックデザイナー)
東京都出身。 広告制作会社、化粧品メーカーを経て2017年からルーラ デザイン スタジオとして活動。多面的な視点で「ものごとの価値」を見つけ出し、企業や商品とお客様を繋ぐ最適なアイデアを。をテーマに、商品企画、アートディレクション、グラフィック、パッケージデザイン等を手掛けている。
キャンドルを楽しむという文化を根付かせるために、気軽に使用できるコミュニケーションツールとしてデザインされている。長年のキャンドル製造技術を最大限発揮しながら、その他のビジネス展開や他分野とのコラボレーションも考えられる、実現可能性の高いデザイン提案を評価した。
株式会社ラヤマパック 真空成形事業
射出成形
ブロー成形
機械製造
具現化事業
1000万円 多種多様なものづくりを自社内で可能とする「プラスチック加工設備・技術」 / 株式会社ラヤマパック(葛飾区)
卓上真空成形機「V.Former」のパッキング技術を活用し、モノとともに思い出をパッケージする新サービスの提案。REPACKという新しいカルチャーを生み拡げることを目指す。
岩沢 仁、岩沢 卓、岩沢英里(デザイナー、プランナー)
モノ・コト・ヒトのおもしろたのしい関係をつくるスペースデザインユニット「岩沢兄弟」。空間設計・家具・プロダクト・什器・大道具などの立体物設計だけでなく、デジタル、アナログ両方のツールを活用したコミュニケーション設計も行なっている。
 
東京和晒株式会社 手ぬぐい・伴天のオリジナル(別注・誂え品)製作   伝統的な染技法“東京本染(注染)”による「両面染色技術」 / 東京和晒株式会社(葛飾区)
企業の資源を活用し、未来の手ぬぐいクリエイターを育てる新たなビジネスモデルの提案。
清水 覚(プランナー)
上智大学理工学部卒業後、多摩美術大学美術学部情報デザイン学科を経て、外資系広告代理店に入社。現在はヤフー(株)にてスポンサードコンテンツの制作ディレクションを担当。副業としてクリエイティブ集団「Konel」のパラレルワーカーとして活動しながら、大学時代の同期、前職の同僚と自主制作ユニット「coneru」を結成し、コンペティションや企業との商品開発に取り組んでいる。
 
株式会社技光堂 企画デザイン製版及び特殊印刷に付帯関連する一切の製品の製造販売 1000万円 透明樹脂素材を立体的かつ本物の金属に見せる「立体視・金属調印刷」/ 株式会社技光堂(板橋区
「透ける金属表現」という特殊印刷の特徴を活かした、メタルインターフェイス制作とビジネスモデルの提案。
今井 裕平( 代表・コンサルティングディレクター)
1981年生まれ。大阪府堺市出身。神戸大学大学院修了後、安井建築設計事務所を経て、日本IBM電通コンサルティングにて経営コンサルティング業務に従事。在職中にkenmaを設立し、2016年11月より代表取締役に就任。企業の新たな看板商品・サービスを創り出す「フラッグシップデザイン」を提唱し、kenmaでは主に戦略パートを担当。

林 雄三(共同代表・デザイナー)
香川県高松市生まれ。幼少期、洋画家 四宮金一氏の下で絵画を教わる。高松高校卒業、神戸大学大学院自然科学研究科修了。松田平田設計を経て、kenma共同代表。一級建築士。kenmaでは主にアートディレクション、デザインパートを担当。

木村 美智子(デザイナー)
神奈川県横浜市生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業後、同大学院美術研究科デザイン専攻修了。2016年よりkenmaに参画。

鈴木 杏奈(広報担当)
静岡県浜松市生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。スターバックスコーヒージャパン株式会社を経て、2018年よりkenmaに参画。声優としても活動中。
高度な技術が必要となる特殊印刷と、デザイナーの提案力が見事にマッチした実現可能性が見込めるビジネス提案。技光堂独自の印刷技術を用いてBtoCのプロダクト制作を行いつつ、本業であるBtoBのOEM事業の価値向上を目指し、多面的に提案した点を、総合的に高く評価した。
株式会社特殊阿部製版所 特殊印刷や二次加工分野に特化した製版・副資材の専門メーカー 2675万円 金属の表面にデザインを付加する「彫刻・エッチング技術」 / 株式会社特殊阿部製版所(江東区
彫刻・エッチング技術を駆使し、産業技術から日本の新たな伝統工芸を生み出すブランディング提案。
清水 覚(プランナー/デザイナー)
上智大学理工学部卒業後、多摩美術大学美術学部情報デザイン学科を経て、外資系広告代理店に入社。現在はヤフー(株)にてスポンサードコンテンツの制作ディレクションを担当。副業としてクリエイティブ集団「Konel」のパラレルワーカーとして活動しながら、大学時代の同期、前職の同僚と自主制作ユニット「coneru」を結成し、コンペティションや企業との商品開発に取り組んでいる。

大上 倫太朗(デザイナー)
北海道函館市出身。多摩美術大学造形表現学部デザイン学科卒業。教育関連の出版社に所属。広告やエディトリアルを中心に制作。

あべしょうへい(アドバイザー)
鳥取県出身 京都伝統工芸大学校金属工芸科卒業 広告関係のデザイン会社に所属 ポスターやチラシなどグラフィックデザインを制作
 
GRASSE TOKYO(グラーストウキョウ)株式会社 ハンドクリーム、ボディミルク、ボディスクラブなどのボディケアをはじめ、オードパルファン(ジェル香水)、フレグランスキャンドル、リードディフューザー、 ルームミスト、サシェ、フレグランスオイル、エッセンシャルオイルなどの商品を企画・製造 1000万円 精油の魅力を引き出す「アロマブレンド技術」 / GRASSE TOKYO(グラーストウキョウ)株式会社(江東区
絵具形状の画材と教本により、自分で香りを調合してしくみを学ぶことのできる教育プロダクトの提案。
清水 覚(プランナー)
上智大学理工学部卒業後、多摩美術大学美術学部情報デザイン学科を経て、外資系広告代理店に入社。現在はヤフー(株)にてスポンサードコンテンツの制作ディレクションを担当。副業としてクリエイティブ集団「Konel」のパラレルワーカーとして活動しながら、大学時代の同期、前職の同僚と自主制作ユニット「coneru」を結成し、コンペティションや企業との商品開発に取り組んでいる。

山根 準(プランナー)
1990年生まれ、幼少期をアメリカで過ごす。大阪大学基礎工学部を卒業後、外資系広告代理店にてアカウント・プランナーとして従事。その後、ソニー(株)の商品企画を経て、現在は研究開発部門において、技術とビジネスを結ぶビジネスデザインを行う。coneru名義のクリエイティブユニットでは、言葉を起点にしたプロダクト開発、広告企画など、フリーでも活動。カンヌライオンズなど広告賞、グッドデザイン賞などプロダクト賞を複数受賞。

山根 芽衣イラストレーター)
福島県出身。武蔵野美術大学油絵学科卒業後、桑沢デザイン研究所でデザインについて学ぶ。現在は2歳の子を持つママワーカー。タイムズ24(株)グループのノベルティ、料金看板のシール制作を担当。フリーランスでイラストの制作も行なっている。

安次嶺 彩香(デザイナー)
多摩美術大学情報デザイン学科卒業後、紙の専門商社 (株)竹尾へ入社。見本帖本店ショップ勤務、竹尾見本帖 at Itoyaでのペーパーコンシェルジュ兼務を経て、紙の提案から手配・販売業務に従事。現在は営業部にて内勤業務をしつつ、社外展示会など他プロジェクトにも参加。
絵の具の色を混ぜるように、自分で調香して、香りのしくみを学ぶことのできる全く新しいプロダクト。アロマの特性を生かした新市場に向けた製品とビジネスモデル提案が評価された。 教育だけではなく、福祉現場、日常生活に至るまで様々な展開が考えられる。ぜひ、実現化を楽しみにしている。

 

 過去の記事でも触れていますが、このアワードでは企業の事業分析を踏まえた提案や、製品化後の販路開拓の視点が重視されています。そのため、受賞した企業のデザイナーは、複数人で役割分担をしているところが目立ちます。事業分析の部分や販路開拓・ビジネスモデルの構築につながる部分はコンサルタントやプランナーといった立場の人間が役割分担することで、精度の高い提案となっているのではないでしょうか。その点が評価されているのではないかと感じます。

  このビジネスデザインアワードの傾向は、中小企業がデザインを導入する際に、非常に参考になるものだと思います。

 

メディアの反応

 東京ビジネスデザインアワードでプレスリリースを行っているため、各種メディアでも、受賞の内容が取り上げられています。今回受賞した企業の製品が今後どのように市場に出ていくのか、注目していきたいと思います。

compe.japandesign.ne.jp

www.jagat.or.jp

response.jp