グッドデザイン賞2017 ベスト100発表 中小企業注目の4社
10/4にグッドデザイン賞2017の受賞製品が決定し、「グッドデザイン大賞」候補、「グッドデザイン・ベスト100」、「ロングライフデザイン賞」が発表されました。
今後さらにグッドデザイン大賞や、本ブログで注目している特別賞「ものづくり」(中小企業の)の受賞対象は11/1の発表の予定ですが、現時点で発表されているベスト100の中から、中小企業による受賞製品で注目したいものをピックアップしていきたいと思います。
- 中小企業の定義の再確認
- 株式会社寺田電機製作所:壁用コンセント [UCWシリーズ]
- ペガサスキャンドル株式会社:キャンドル [倉敷製蠟 CARD CANDLE]
- 愛知ドビー株式会社:炊飯器/調理器 [バーミキュラ ライスポット]
- 株式会社中川政七商店:活動 [さんち 〜工芸と探訪〜]
- まとめ
↓グッドデザイン賞に関する関連記事
design-management.hatenablog.jp
中小企業の定義の再確認
グッドデザイン賞の公式HP、応募ガイド等をみた限りでは、中小企業の定義に関する記載はありませんでしたが、一般的な中小企業の定義は下記の通りです。このブログでは下記の定義をもとに中小企業か否かを判断します。
製造業
その他 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人卸売業
資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人小売業
資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人サービス業
資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
株式会社寺田電機製作所:壁用コンセント [UCWシリーズ]
企業規模
会社概要を見ると従業員数は70人と中小企業の定義内です。ただし、多くのグループ会社があり、それらの従業員数も合わせると中堅企業といった位置づけになるかもしれません。設立は昭和14年と長く、品質・環境ともにISOを取得していることから、企業としての成熟度は高いように感じます。
デザイナー
当企業では社内のデザイナーを活用しています。加えてそのデザイナーが取締役であるという点が注目です。経営にデザインを主体的に導入していこうという方針の表れではないかと思います。
マーケティング
HPでは自社製品の納入先のイメージを開設するページがあるなど、企業ブランド・信用力を高める工夫がなされています。また、過去にもグッドデザイン賞を受賞しているようです。ISOも取得していることや、取締役の社内デザイナーを活用していることからも、納入先への自社製品品質の信頼性の向上という観点で中長期的にデザインを活用しようとしていることがうかがえます。
ペガサスキャンドル株式会社:キャンドル [倉敷製蠟 CARD CANDLE]
企業規模
キャンドルの製造販売をしている企業です。従業員は110名と、製造業の中小企業に該当します。こちらの企業も設立が昭和25年と非常に歴史のある企業です。
デザイナー
当企業では社外のデザイナーを活用しています。どのようなきっかけで取引に至ったのか、また、デザイナーは経営戦略のどの段階まで踏み込んで提案しているのかが気になるところです。
マーケティング
審査員コメントにもありますが、パッケージやロゴ・WEBのデザインまで含めて、ブランディングの段階まで落とし込まれており、コンセプトの一貫性を感じさせます。
受賞製品の売上だけでなく、受賞による他の既存商品の売上増加まで波及していれば、デザイン活用の好事例になると思います。
愛知ドビー株式会社:炊飯器/調理器 [バーミキュラ ライスポット]
企業規模
一般にも知名度のあるバーミキュラの製造メーカー。従業員は220名と中小企業の定義に該当します。「頑張る中小企業300選」にも選定されています。1936年より創業の歴史の長い企業です。3代目社長の現体制になったのは2008年からのようです。
マーケティング
大手出身の3代目の社長・副社長がおり、この規模の企業としては非常にマーケティングの精度が高いです。HPもデザイン性が高く、開発ストーリーも含めて公開・PRするなどブランド性を高める取り組みが随所にみられます。
デザイナー
副社長自らがデザインを行っているようです。ブランド統括室という部署を設定していることから、社内でもデザインを重要な要素と位置付けていることがうかがえます。
『バーミキュラ ライスポット』の愛知ドビー社長・ 副社長に直撃「どうして炊飯器にこだわったんですか?」 – DIGIMONO!(デジモノ!)
株式会社中川政七商店:活動 [さんち 〜工芸と探訪〜]
過去に当ブログでもふれたことがある中川又七商店もグッドデザイン賞を受賞しています。
design-management.hatenablog.jp
企業規模
従業員は388人と中小企業の枠を超えていますが、資本金が1000万円のため、中小企業の定義には該当します。しかし、企業の規模としては中堅企業に近いといえるかもしれません。
マーケティング
中川又七商店は上記の受賞企業と違い、プロダクトデザインではなく、全国の工芸産地ををPRするWEBメディアそのものです。当企業は、工芸品製造メーカーに向けてデザイン視点によるコンサルティングを行っているため、このWEBメディアでは顧客の開拓と、コンサルティング先のPRという両方の目的のあるものではないでしょうか。
デザイナー
WEBデザインのUI・UXデザインの要素も強い事から、株式会社グッドパッチという社外の企業にデザインを依頼しているようです。
まとめ
グッドデザイン賞は大手企業が受賞することが多い賞という印象がありますが、中小企業でも受賞している企業はあります。11/1の特別賞ではどのような企業・デザインが受賞することになるのか、注目してきたいところです。