management&design

経営に役立つデザインの情報を紹介します

デザイン経営宣言で示された政策提言について

 

 

はじめに

 昨年特許庁からデザイン経営宣言の発表があった際、デザイン経営宣言の中身に関して、当ブログでも言及をしました。ただ、デザイン経営宣言の最後の項目「8.政策提言」の内容に関しては、触れることができなかったので、宣言から随分と時間が開いてしまいましたが、今回はこの政策提言の内容に関して触れていきます。

 

design-management.hatenablog.jp

 

 

政策提言の3つの注目点

 デザイン経営宣言の中で示された政策提言の中身は、5つの視点からなる8項目で構成されています。記載されている内容はまだ方針・案の段階であるため具体的な記載はありませんが、宣言として公表された以上、記載されている方針に基づいた施策が今後展開されることは間違ありません。

 8項目の内、当ブログで注目したのは、「啓発」「意匠法の改正」「デザインに対する補助制度の充実・税制の導入」の3点です。

※「意匠法の改正」に関しては、前回の15年ぶりのデザイン政策提言「デザイン経営宣言」に関する考察 - management&designで触れているため、今回は割愛します。

 

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出典:デザイン経営宣言

 


啓発について

 啓発の項目では、「この5年間を「デザイン経営」の普及の集中期間として定め、官
民連携して「デザイン経営」の実践と浸透を推進する。」としています。

 具体的な期限設定をして、デザイン経営の方法論、先行事例の収集、関連施策の検討等を行うこととしているため、近い内にデザイン経営宣言に続く内容が発表される可能性があります。

 加えて、特許庁では「世界に通じる優れたデザインを生み出し、知的創造サイクル の実践に寄与したデザイン⼈材及びデザイン経営を確⽴した企業を知財功労賞において表彰する。」としています。モデルケースとなる企業を表彰することで、デザイン経営の知名度向上と、目指すべき具体的な企業イメージが共有できるようになるでしょう。

 

デザインに対する補助制度の充実・税制の導入について

 政策提言の中で一番インパクトがあるのは、デザインに対しての補助金、税制の導入ではないかと感じました。

 特に税制の改正というのは、優遇税制としての効果だけでなく、産業界におけるデザイン経営の認知度を高める効果が大きいと思います。全国の中小企業支援機関は、税制の改正内容等を踏まえて、経営に関する情報提供・セミナー等を開催していくため、これまでデザインに関心の低かった中小企業でも、認知度が高まることが期待されます。

 補助金に関しては、実はすでに「ものづくり・商業・サービス補助金」という補助金でデザインをテーマにした申請ができるようになっています。ただ、国が実施する補助金で、デザインをメインにしたものは無いため、こちらも実施されれば産業界での認知度向上が期待できるでしょう。

平成29年度補正「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」の二次公募について

  

 最後に

 2018年5月のデザイン経営宣言から半年以上が経過し、様々な分野で同宣言に対しての反応が見られました。今後も当ブログでは、デザイン経営宣言に関連する項目に注目し、継続して情報発信していきたいと思います。