デザインマネジメント コンサルタントに求められる能力7分野
過去の記事より、デザインマネジメント コンサルタントに必要な能力を掲載すると書きましたが、今回はまさにその内容に関して書いていきたいと思います。其々個別の項目の考察に関しては、非常に多くの分量が必要であることから、今回は大まかな必要となる分野の掲示にとどめます。
- 前提条件
- ①デザイン知識
- 関連資格 プロダクトデザイン検定
- デザイナーとの人脈
- ②事業分析・計画策定スキル
- ③プロジェクト管理能力
- ファシリテーションスキル
- 関連資格
- ④知的財産権知識
- 関連資格
- 事例
- ⑤契約管理
- ⑥素材・加工方法に関する知識
- ⑦ブランドの構築・管理能力
- 最後に
前提条件
まず、今回記載する内容の前提条件を確認します。下記の2点です。
- コンサルを行う対象は中小企業が対象であること(大手企業のデザイン部門等ではない)
- コンサル自身はデザインを行うのではなく、中小企業へのデザイン導入の全体をコントロールする立場であること
それでは実際の能力分野の記載に移ります。
①デザイン知識
実際にデザインを行うのはデザイナーであるとしても、全体を統括する立場の人間もデザインの基礎知識はある程度有している必要があります。全くのIT知識のないユーザー企業がITベンダーに必要なシステムを依頼する際、多くのケースで失敗することを思い浮かべれば、その必要性がイメージできると思います。
関連資格 プロダクトデザイン検定
その一つの指標になるのは、デザイン関連の資格です。デザインに関連する資格はいくつか存在しますが、私は一番デザイン導入全般に関する知識に対応している資格は現状では「プロダクトデザイン検定」だと考えています。
実際のデザインに関する詳細な知識に関してはデザイナーの仕事であるため、統括する立場の人間はこの検定程度の知識があれば、ある程度問題がないものと思います。
当検定では、「視覚化のための手法」という項目で、グラフィック・web等に関するデザイン分野にも触れていますが、空間デザインに関する項目に関してはあまり触れられていません。空間デザインに関する内容に関しては、別途適切な知識の評価基準が必要となるでしょう。この点は私もまだ模索している最中です。
- 作者: JIDA「プロダクトデザイン」編集委員会,日本インダストリアルデザイナー協会,大島義典,金井宏水,佐藤弘喜,塚原肇,山内勉,山崎和彦,横田英夫,SOUVENIR DESIGN
- 出版社/メーカー: ワークスコーポレーション
- 発売日: 2009/07/17
- メディア: 単行本
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デザイナーとの人脈
また、実際にデザインを担当してもらう適切なデザイナーとの人脈が確保されていることも必要です。一口にデザイナーといっても、その実力を指し示す客観的な指標はあまりないため、企業の状況に合わせた得意分野を持つデザイナーとの取引実績があることが必要となるでしょう。
続きを読む書評・感想「経営とデザインの幸せな関係」中川淳
- 初めに
- 目次:本の構成 ※amazon より
- 中川淳氏について
- 本書内容の要点整理
- 本書でのデザインの定義
- 会社診断の手法について
- 経営計画があって、それを反映するブランドがある
- 商品戦略
- リサーチ
- 知財
- 外部デザイナーの活用方法
- 顧客とのコミュニケーション
- 終わりに
初めに
今回は2016年11月に出版された「経営とデザインの幸せな関係」という書籍を紹介します。本書はデザインを経営に取り入れるにはどのような点に注意すればいいのかという内容が記載されています。これまでも、同様のテーマを題材にした書籍はいくつかありましたが、本書では、割と規模の小さい中小企業向けの内容になっている点が特徴的です。
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JAGDA発行:グラフィックデザイナーのための本1 著作権Q&A について
2017年の3月31日にJAGDA (公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会)より「公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会」という書籍が発行されました。グラフィックデザイナーに向けて、著作権をどのように管理していけばよいのかという内容をまとめたhow to本になっています。
書籍では税込500円の物ですが、PDFデータでは無料で公開されいます。
http://www.jagda.or.jp/pdf/qa.pdf
本の内容に関して
本の構成は下記の3部構成です。
- 基本編
- 事例編
- 資料編
基本編・事例編ともにQ&A方式で記載されており、法律に関する内容だけでなく、グラフィックデザインの実例を想定した具体的な対応策が記載されています。
また、本書は2002年に発行された内容に対し、法律の改正に合わせて修正を行った内容であるため、最新の法律を反映した内容となっています。
本の特徴
本書はグラフィックデザイナー向けに記載されていますが、事例を引き合いにだして記載されているため、グラフィックデザインの発注者側(企業担当者等)にとっても、参考となる内容になっています。
加えて、本書は著作権だけでなくグラフィックデザインに関連する意匠権や商標権、不正競争防止法取った知的財産権に関しても記載があり、網羅的な内容になっています。
PDFデータは無料であり、グラフィックデザインに関わる人にとっては入門マニュアルとして機能するものではないでしょうか。
高度デザイン人材に関する考察
- 資料の要約
- 調査方法
- 高度デザイン人材の人物像(同資料46p参照)
- 高度デザイン人材の育成方法
- 就職前の教育機関において
- 企業内での人材育成
- 管理人の見解
先日経済産業省より「平成28年度 第4次産業革命におけるデザイン等クリエイティブの重要性及び具体的な施策検討に係る調査研究 報告書」というファイルがアップロードされました。
これまでも経済産業省からは、デザイン政策に関する調査資料は発表されていましたが、今回の資料は、最近の経済産業省からの資料に度々出ていたキーワード「高度デザイン人材」に関する具体的な項目に踏み込んだ内容となっています。
当ブログでもこれまで企業とデザインの分野を繋ぐことができるハイブリッドな人材の必要性に関して論じてきたため、今回の発表資料がそうした内容になっているのか、確認していきたいと思います。
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グッドデザイン賞の概要と3視点でのメリット
- 1.賞の概要
- 理念
- 賞の種類
- 対象製品分野
- 2.受賞のメリット
2017年4月5日より、グッドデザイン賞の応募募集が始まります。既に歴史も長い賞ですが、今回はこのグッドデザイン賞を受賞することのメリットを整理します。尚、このブログでは、デザイナー視点ではなく、企業側の受賞メリットに注目して記載していきます。
1.賞の概要
まずはそもそものグッドデザイン賞の概要に関してです。下記はグッドデザイン賞HPに掲載されている内容の引用です。(2017/3/26現在)
グッドデザイン賞は、様々に展開される事象の中から「よいデザイン」を選び、顕彰することを通じ、私たちのくらしを、産業を、そして社会全体を、より豊かなものへと導くことを目的とした公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「総合的なデザインの推奨制度」です。
その母体となったのは、1957年に通商産業省(現経済産業省)によって創設された「グッドデザイン商品選定制度(通称Gマーク制度)」であり、以来約60年にわたって実施されています。その対象はデザインのあらゆる領域にわたり、受賞数は毎年約1,200件、60年間で約44,000件に及んでいます。また、グッドデザイン賞を受賞したデザインには「Gマーク」をつけることが認められます。「Gマーク」は創設以来半世紀以上にわたり、「よいデザイン」の指標として、その役割を果たし続けています。
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