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design+management

デザインと中小企業経営を繋ぐブログ

第一章 日本におけるデザイン活動の現状②

 

design-management.hatenablog.jp

 ↑※この記事からの続きの内容

1.2.2デザインに対する消費者意識の高まり

(1)消費マインドの変化

 デザイン導入の必要性を説くに当たり、消費者マインドの変化というのも一つの重要な要素として取り上げておきたい。

 単純にデザインに関する関心が高まっていることを示すデータとしては、日本産業デザイン振興会が行った「第一回デザインに関する意識調査」の中でデザインに関する興味・関心を聞いた質問があり、世代に関わらず約7割もの人がデザインに対し関心を持っていることが分かった。

 

図表1.5 デザインに関する意識調査

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出典:公益財団法人日本デザイン振興会 「第一回意識調査 2007年」より筆者作成

 

 また、日本政策投資銀行資料(※直、正式名)によれば、グローバルレベルでのコモディディ化が急速に進む中、デザイン性・ファッション性に優れた製品は発売後も製品価格の下落幅が小さく、デザインが消費者の支持獲得、付加価値向上に一役買っていることが主張されている。図表1.6は掃除機を対象に、発売から一年間、販売価格の推移を集計したものである。その中で、デザイン性に優れた製品は一般的な製品に比べ、終始価格下落を小さく抑えていることが示されている。

 

図表1.6 家電に見る商品の主な特徴別価格指数推移の一例

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出典:日本政策投資銀行 「デザインイノベーションによる関西企業の高付加価値化戦略 2013年」

 

 他にも、経済産業省「生活者の感性価値と価格プレミアムに関する意識調査」によれば、自分のこだわりのあるものなら価格が高くても購入すると考えている人が8割近くにも上ることが分かった。

 コモディティ化が進む一方、デザインやブランドといった価値観にはある程度お金を払っても良いという消費者意識があることがうかがえる。

 

図表1.7 商品購入におけるこだわり意識

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出典:経済産業省「生活者の感性価値と価格プレミアムに関する意識調査 2006年」基に筆者作成

 

図表1.8 製品開発におけるデザインの開発の役割は高まるか

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出典:知的財産研究所 「企業の事業戦略におけるデザインを中心としたブランド形成・維持のための産業財産権制度の活用に関する調査研究報告書 2011年」より筆者差作成

  

図表1.9 デザイン開発の役割が高まっていく理由(質問D-10)

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出典:知的財産研究所 「企業の事業戦略におけるデザインを中心としたブランド形成・維持のための産業財産権制度の活用に関する調査研究報告書 2011年」より筆者作成

 

 また、消費者だけに限らず、生産者側においてもデザインに関する関心は高まりを見せている。図表1.8は知的財産研究所平成23年に行った企業の知的財産部門に対して行ったアンケート調査の結果である。図表1.8を見ると製品開発におけるデザイン開発の役割が今後高まっていくかという問いに対して9割以上の企業が高まるとの見方を示している。

 これだけでもデザイン導入の必要性を感じさせる内容だが、さらに先の質問でデザインの役割が高まるであろうと答えた企業の、答えた理由を調査した結果が図表1.9である。

「機能・性能で差をつけるだけでなくさらにデザインでも差をつける必要があるから」(49 、70%)、「機能・性能による製品の差別化が難しいから」(43 、約61%)等、製品の差別化への活用の必要性を感じる内容のものが多いだけでなく、「消費者がデザインでモノを選ぶ時代であるから」(40 、約57%)といった消費者の意識の高まりに引っ張られる形で、デザインの必要性を意識している回答も多く、デザインに対する消費者意識の高まりを裏付ける内容となっている。

 

(2)感性価値の台頭

 こうした中、経済産業省では感性価値という言葉を作り、推奨している。

「感性価値」とは、生活者の感性に働きかけ、感動や共感を得ることによって顕在化する価値、とされている。現在の日本では長引く景気低迷によるイノベーションの減少や、新興国の急激な台頭により、機能や価格といった評価軸だけでは差別化を行うことが困難になりつつある。そうしたなか、作り手の感性や想い、コンセプトといった「物語性」が消費者に伝わることによって新たな付加価値、新たな評価軸が生まれるものとして期待されている。

 この感性価値を高めるため、消費者に訴える際に、デザインが大きな役割を果たすものと期待されているのである。

 この章で見てきた、消費者からのデザインへの関心が高まっているという意味でも、企業経営にデザインを導入する必要性・意義が高まっているといえるだろう。

 

(3)小括

 ここまでデザインに対する消費者、生産者両側からの関心の高まりを見てきた。時代の移り変わりと共に、消費者の意識や重要視する要素は確実に移り変わっており、一般消費者レベルまでデザインを選別要素とする動きが広まっていることがわかる。そして敏感な生産者・企業側は、その動きをいち早く察知しており、差別化要因や付加価値要素として、デザインの重要性を感じ取っていることがわかる。

 

※次章記事↓

 

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