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経営に役立つデザインの情報を紹介します

東京都内のデザイン関連支援機関まとめ

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 今回は東京都内にあるデザインに関係した支援を行っている行政関連機関をまとめます。

 

 

 

東京都中小企業振興公社

都内中小企業を対象に幅広く経営支援を行う、東京都の外郭団体。

基本的にほとんどのサービスは都内の中小企業であれば無料で受けることができます。

デザイン支援に関しては、プロダクトデザインを中心としたものが多い傾向にあります。

 

 

www.tokyo-kosha.or.jp

東京デザイナー情報

 中小企業向け案件を受注したいと考えている、デザイン事務所・デザイナーが登録しているマッチングサイトです。登録要件には、都内に登記があることなどの条件はなく、都内を中心に事業を展開している事務所・個人であれば登録が可能です。

 これまでの実績や、メインのデザイン分野などが登録されており、中小企業は条件を設定し自社にあったデザイン事務所・デザイナーを検索することができます。

 ただし、事務所・デザイナーが登録する際、デザインの品質面での審査があるわけではないため、中小企業側は実際にどの程度の能力のある事務所・デザイナーかは実際にやり取りをしたうえで判断する必要があります。

http://www.designer-db.tokyo.jp/

 

 

デザイン相談

 毎週金曜日にデザイナーが企業のデザイン導入に関する内容について、無料で相談対応を行っています。これまでデザインを導入したことがない企業や、導入している中で課題に直面した企業などにとっては、悩みを解決するのに良い手段といえるでしょう。

総合相談:総合支援事業|東京都中小企業振興公社

 

事業化チャレンジ道場

  中小企業が新製品開発を行うにあたり、企業の経営分析・マーケティングなどの視点を踏まえたうえでプロダクトデザインの手法を学ぶセミナーです。製品の外観デザインをよくするだけでなく、実際に販売し収益化することに主眼を置いている内容です。

 これまで既に自社製品を開発・販売してきた企業だけでなく、今後初めて自社製品開発に取り組もうという企業にとっても意義のある内容になっています。

 このセミナーを受講し、実際に製品開発を行った事例も紹介されています。

↓カリキュラム 2016年時点

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  • 期間:約一年
  • 費用:一企業7万円
  • 参加:一社3名まで

 

事業化チャレンジ道場(売れる製品開発道場)製販一体型新製品開発支援事業:人材育成支援事業:総合支援事業|東京都中小企業振興公社

 

 

デザイン活用ガイド

 これまでデザイナーと取引をしたことがない中小企業へ向けて、デザインを活用する上でのポイントをまとめた活用ガイドを無料で配布しています。下記リンク先よりダウンロードすることができます。

 企業活動においてデザインを活用する分野、シーン等の紹介や、実際にデザイナーと契約する際の諸条件の設定方法・知的財産権の問題などに関してのポイントが記載されています。

chapter1 デザインで何ができる?
課題を解決し、価値を生みます

 

chapter2 デザイナーと仕事をしよう
何を依頼するか
デザイナーの仕事(1)機能プラス新しい視点でデザイン一新
デザイナーの仕事(2)BtoBの機械工具メーカーが、BtoC市場へ参入
デザイナーの仕事(3)そのまま店頭で利用できるカートンケースの開発
デザイナーの仕事(4)ウェブサイトを見直し、リニューアルをはかる
デザイナーの仕事(5)経営資源を生かし、BtoBからBtoC商品の開発へ
中小企業に必要なブランドデザインの考え方とは

 

chapter3 デザイナーと契約しよう
デザイナーを探す・発注前の準備・どのように契約するか・知的財産を守る・知的財産権とは?・知的財産権を守る主な法律・デザイン料の支払い方式・デザイン料の考え方を知る

デザイン活用ガイド:デザイン支援事業:総合支援事業|東京都中小企業振興公社

 

デザインコラボ事業

  東京デザイナー情報に登録されているデザイナーと、マッチング会の機会を設定し、実際に複数のデザイナーとやり取りをしたうえで、企業がデザイナーとの協業を検討することができます。以下HP文章引用

デザインに関する具体的な案件を持つ中小企業とデザイナーを対象に、マッチング会(商談会)を行います。 自社商品をデザインの力でより魅力的なものにしたいと考える中小企業が、自社にあったデザイナーを探すためのマッチング会と、独自のアイディアを持つデザイナーが、そのアイディアを形に出来る技術を持つ中小企業を探すためのマッチング会を、それぞれ実施します。(年各1回実施)
※デザイナーは「東京デザイナー情報」登録デザイナーを対象とします。(ただし、大学を除く)

デザインコラボ事業:デザイン支援事業:総合支援事業|東京都中小企業振興公社

 

知的財産相談

  企業経営にデザインを導入するにあたっては、知的財産権の問題を避けて通ることはできません。意匠や商標等を適切に活用し、自社のデザインを保護することが必要です。同公社では知的財産に関する下記のようなサービスを受けることができます。

東京都知的財産総合センター

 

 

 

 

東京都立産業技術研究センター 

東京都立産業技術研究センターは、東京都の中小企業に対する技術支援(依頼試験、研究開発、技術相談、人材育成など)により、東京の産業振興を図り、都民生活の向上に貢献することを役割として、東京都により設置された試験研究機関です。(HPより引用)

 東京都産業技術研究センター内にはデザイン技術グループという部門があり、デザインに関連した技術支援を行っています。同センターでは支援分野を下記のように分類しています。

 上記項目を軸に幅広く支援を行っていますが、個別のサービスとして下記のような項目を実施しています。

www.iri-tokyo.jp

オーダーメイド開発

「こんな製品を開発したいが、自社だけでは解決できない技術的な課題がある・・。」

このような時は、ぜひ都産技研にご相談ください。

 コンセプト立案、デザイン、設計、各種加工、試作、開発過程での性能評価、展示会出品等の企画デザイン面でのサポート等が対象です。

 これらの分野で通常の依頼試験、機器利用等では対応がむずかしいお客様のニーズにお応えします。(HPより引用)

  本サービスは組織の特徴上、技術的支援を軸に置いた内容となっています。無料ではありませんが、企業特性を把握・分析したうえでのコンセプト立案から開発・市場展開まで支援を受けることができ、実効性のある支援内容だと思います。HPでは、費用を助成してくれる施策の一覧を掲載しています。

 相談は無料の為、一度相談を行うのもいいのではないでしょうか。

東京都立産業技術研究センター/オーダーメード開発支援

 

ブランド確立実践ワークショップ

 企業担当者・デザイナー双方に向けた、収益につながるデザイン・ブランドを確立させるための企画・製品開発力を身につけることができるセミナーです。本年度はすでに参加募集を閉め切っていますが、来年度意向も同様の内容で実施される見込みです。

東京都立産業技術研究センター/デザイン技術グループ

 

商品企画基礎講座

 マーケティング・事業計画等の経営的な内容からはじまり、デザインのモックアップも含めた内容も網羅されており、かなり実践的なスキル向上につながる内容になっています。

  •  対象:原則として都内中小企業者であり、自社新商品・サービス開発の課題を有している企業。都外の方でも東京に本社、事業所等があれば応募できます。
  • 受講料:1名:60,000円 (消費税込み)

東京都立産業技術研究センター/「商品企画基礎講座」募集のご案内(平成28年度ブランド確立実践ワークショップ)

企画基礎講座

 商品企画基礎講座の前半3回部分のみを受講できるものです。商品企画基礎講座よりも安価・短期間で受講することができます。

  •  対象:原則として都内中小企業者であり、自社新商品・サービス開発の課題を有している企業。都外の方でも東京に本社、事業所等があれば応募できます。
  • 受講料:1名:13,800円 (消費税込み)

東京都立産業技術研究センター/「企画基礎講座」募集のご案内(平成28年度ブランド確立実践ワークショップ)

マーケティング戦略実践講座

  企業の企画開発担当者だけでなく、デザイナーや起業家も対象とした講座です。各企業の特性に即した計画や提案ができるよう、企業分析の手法を学ぶことができます。

 また事業継続の観点から、費用対効果や資金計画に関する内容も網羅されています。

 加えて、それら計画を経営者や金融機関へプレゼンできるようコミュニケーションのケーススタディやプレゼンテーションの手法を学ぶことができる内容になっています。

 デザイナーが中小企業と協業するためには、目に見える収益成果や資金回収の時期等の視点で提案を行えることが必要不可欠です。その点で、同講座はデザイナーが身につけるべきスキル項目がしっかりと網羅されているといえます。

  • 対象
  1. 企業の戦略パートナーになりたいデザイナー、自社の事業を見直したいデザイナー
  2. 起業家及び、起業予定の方
  3. 新規事業の課題を有する都内中小企業の経営者
  • 受講料:1名:69,300円 (消費税込み)

東京都立産業技術研究センター/デザイナーと起業家のための「マーケティング戦略実践講座」募集のご案内(平成28年度ブランド確立実践ワークショップ)

 

 

 

 

日本デザイン振興会(JDP)

  グッドデザイン賞をはじめとした、デザインの振興事業を展開する組織です。全国的な組織ですが、東京の中小企業に向けた事業も行っています。

東京ビジネスデザインアワード

概要 ※HPより引用

「東京ビジネスデザインアワード」 は、
東京都内のものづくり中小企業と
優れた課題解決力・提案力を併せ持つデザイナーとが
協働することを目的とした、企業参加型のデザイン・事業提案コンペティションです。

ものづくり中小企業が持つ高い技術や特殊な素材を
コンペティションの「テーマ」として募集、審査を経て選定します。

選定された「テーマ」に対して、
新たな用途の開発等を軸とした事業全体のデザインを
「提案」 としてデザイナーから募集し、
優れた事業提案の実現化を目指します。

審査は、企業からの「テーマ」、デザイナーの「提案」ともに、
有識者からなる審査委員会を設置しおこないます。

「テーマ」 と「提案」のマッチングが成立した「テーマ賞」受賞提案については、
製品開発や知財対策に関するアドバイス等をおこない、
都内ものづくり中小企業による事業化・商品化への支援をおこないます。

開催概要 | 東京ビジネスデザインアワード

流れ

  • 企業・デザイナーからのテーマの募集に関しては下記の図が参考になります。
  • 期間は、毎年おおよそ4月より募集を始め、審査・表彰等がすべて終了するのは翌年の1月頃です。
  • 基本的に参加に当たっての費用は無料です。
  • テーマの募集は、先にものづくり技術を有した企業側から行い、それに対してデザイナー案を募集・提案を行うというものです。どちらかというと、中小企業への支援に重きを置いた内容といえます。
  • デザイナーは提案に当たり、対象企業の工場を見学することができ、机上の空論にならない提案となるよう工夫がなされています。

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※出典 http://www.tokyo-design.ne.jp/outline/

 

特徴 

  • 対象:都内に主たる事業所がある中小企業。また、テーマは公開できるものが前提
  • 審査基準:①実現性②成長性③新規性④優秀性⑤市場性⑥財務状況の6つの視点より審査するとされています。特に実現性・市場性・財務状況の審査があるのは特徴的です。製品化まで実現した後、販売展開するまで資金体力があるのか等、実際に収益化できるかどうかに焦点が当てられています。また、企業側だけでなく、提案するデザイナーのプレゼン能力も非常に重視されているようです。
  • 受賞した企業への支援:販路開拓の広報までは支援があります。
  • 実際の販路確立・販売対応は企業側で行うことになっています。そのため、資金体力に余裕のある企業でなければ実現は難しいでしょう。

事例

過去の受賞企業・デザイナーの中にはいくつか成功事例も生まれており、実質的な効果のある支援サービスといえるのではないでしょうか。

中でも大洋塗料株式会社の事例は「ガイアの夜明け」等メディアでも取り上げられるほど成果が上がっており、東京ビジネスデザインアワードで製品化した製品だけでなく、既存の自社製品の売り上げ増加まで繋がったそうです。

商品化への道のり 「太洋塗料 前編」 | jiku

東京ビジネスデザインアワード