METI「産業競争力とデザインを考える研究会」について②
このブログでは経済産業省の「産業競争力とデザインを考える研究会」の内容について過去に2回ふれてきましたが、同研究会では29年度末をめどに成果を示すこととされていため、今回もその内容について触れていきます。
↓同研究会に関して記載した過去の記事
design-management.hatenablog.jp
design-management.hatenablog.jp
ここまでの活動状況
平成30年4月8日現在で経済産業省のHPに公開されている内容では、前回の記事で触れた第6回の中間報告から4回研究会を開催し、計10回の研究会を開催しています。ただ、研究会のすべての成果を示す報告書はまだ公開されておらず、第11回の研究会で報告書の案が示されるとされています。
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sangi/sangyo_design/pdf/009_s02_00.pdf
5月21日の段階でもまだ(案)の予定のため、当初の想定よりも日程が遅れているものと思われます。公開される報告書は平成30年の夏ごろになる可能性があります。
デザイン経営のあり方やデザインマインドの高め方等の内容に関しては、この報告書の中で詳細が記載されるものと思われます。
知的財産権制度(意匠)の在り方について
研究会での議論を踏まえた今後の意匠権の方向性に関しては、第10回の研究会でサマリー資料が公開されています。
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sangi/sangyo_design/pdf/010_s02_00.pdf
主な注目点は下記の項目です。
- 先進技術やサービス分野におけるデザインにおいても意匠権で保護ができるよう、意匠の定義の更新、意匠保護範囲の拡大を目指す。
- 一貫したデザインコンセプトによって創作された後発のデザインについ
ては、最初に出願されたデザインが公開された後であっても確認的に意匠
登録をすることができる新たな制度の創設を目指す。※「確認的に登録」という言葉が具体的にはどのような仕組みのことを示しているのかが気になるところです。 - 空間デザインの保護に関しては、意匠権もしくは商標権の保護範囲を広げることで対応する予定。
- デザインによるブランド形成を促進するため、意匠権の保護期間延長を目指す。
- 意匠権出願の負荷軽減という視点では、複数の意匠を一出願に含めて出願することができる制度の導入や、部分意匠も含めた図面要件の緩和といった対応策で、出願に係る負荷軽減を目指す。
いずれもこの資料では方向性を示すにとどまっているため、意匠権の改正内容に関しても、次回の報告書で詳細が示されるものと思います。
まとめ
デザイン経営のあり方やデザインマインドの高め方、意匠権の改正内容など、最終的な報告書ではどのような内容が示されるのか、気になるところです。個人的には、方向性を示す段階で終わることなく、具体的な対応策が示されることを期待します。具体的な対応策が示されれば、企業経営の分野にもよりデザインの導入が進むことでしょう。