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デザインと中小企業経営を繋ぐブログ

デザインマネジメント コンサルタントに求められる能力7分野

 過去の記事より、デザインマネジメント コンサルタントに必要な能力を掲載すると書きましたが、今回はまさにその内容に関して書いていきたいと思います。其々個別の項目の考察に関しては、非常に多くの分量が必要であることから、今回は大まかな必要となる分野の掲示にとどめます。

 

 

前提条件

 まず、今回記載する内容の前提条件を確認します。下記の2点です。

  1. コンサルを行う対象は中小企業が対象であること(大手企業のデザイン部門等ではない)
  2. コンサル自身はデザインを行うのではなく、中小企業へのデザイン導入の全体をコントロールする立場であること

 それでは実際の能力分野の記載に移ります。

①デザイン知識

 実際にデザインを行うのはデザイナーであるとしても、全体を統括する立場の人間もデザインの基礎知識はある程度有している必要があります。全くのIT知識のないユーザー企業がITベンダーに必要なシステムを依頼する際、多くのケースで失敗することを思い浮かべれば、その必要性がイメージできると思います。 

 

関連資格 プロダクトデザイン検定

 その一つの指標になるのは、デザイン関連の資格です。デザインに関連する資格はいくつか存在しますが、私は一番デザイン導入全般に関する知識に対応している資格は現状では「プロダクトデザイン検定」だと考えています。

 実際のデザインに関する詳細な知識に関してはデザイナーの仕事であるため、統括する立場の人間はこの検定程度の知識があれば、ある程度問題がないものと思います。

 当検定では、「視覚化のための手法」という項目で、グラフィック・web等に関するデザイン分野にも触れていますが、空間デザインに関する項目に関してはあまり触れられていません。空間デザインに関する内容に関しては、別途適切な知識の評価基準が必要となるでしょう。この点は私もまだ模索している最中です。

 

プロダクトデザイン 商品開発に関わるすべての人へ

プロダクトデザイン 商品開発に関わるすべての人へ

 

 

 デザイナーとの人脈

  また、実際にデザインを担当してもらう適切なデザイナーとの人脈が確保されていることも必要です。一口にデザイナーといっても、その実力を指し示す客観的な指標はあまりないため、企業の状況に合わせた得意分野を持つデザイナーとの取引実績があることが必要となるでしょう。

 

 

②事業分析・計画策定スキル

資金繰り管理

 デザインを導入する際、特にプロダクトデザインや空間デザインに関する分野であれば、実際に収益を回収するまでには長い期間を必要とします。その際、どの程度のデザインに投資することが可能なのか、資金繰りの観点から見通しを持っておくことが必要です。特に中小の下請け企業の場合は、自社で営業や販売機能を持っていない会社も多くあり、そうした企業は実際に販売して収益を上げるまでに非常に時間がかかるケースが多いのです。

※ 書籍「経営とデザインの幸せな関係」でも同様の記載があります。

 

design-management.hatenablog.jp

 

融資審査能力

 資金繰りの能力と重複する部分ですが、デザイン導入に係る費用負担や、事業の長期化が見込まれる場合は、運転資金を確保するために借り入れをする必要がでてくる可能性もあります。そうした際、対象企業がどの程度追加で融資を得ることができるかを事前に判断できると、途中で資金不足によりデザインの導入がとん挫してしまうことを防ぐことができます。

 

外部環境分析

 実際にデザインを決定する前には競合状況や想定される販売先の市場に関して、状況を把握したうえでどのようなデザインにするかを決める必要があります。リサーチには様々な方法があり、リサーチ会社を活用するものも含めればその費用も大きく異なります。一つ参考になるのは「経営とデザインの幸せな関係」に記載のある競合製品から、当該製品の構成要素を洗い出すという方法です。形状・価格帯・パッケージ・機能性・テイスト等の項目ごとに、競合製品を抜けもれなく分類していき、そのうえで自社が目指すべき差別化の方向性を決めるというものです。書籍にはその構成表の例も掲載されているため、興味のある方はぜひ確認してみてください。

 

マーケティング

 デザインの導入を個別の取り組みとするのではなく、経営戦略からマーケティング戦略を反映したデザイン導入とすることで、高い効果を得ることができます。そのためには、マーケティングのSTPや4Pといった項目を事前にしっかりと整理することが求められます。

製造工程分析

 プロダクトデザインの分野では、どのようなプロセスを経て製品が製造されているのかを把握することも必要です。どの工程を自社で行っており、どこを外注しているのか。強みの源泉となっているのは仕入れ材料なのか、手作業の技術なのか等を理解することで、本当に強調するべき項目がはっきりし、ストーリー性や根拠のあるデザインをつくる材料となります。

投資対効果分析

 過去の記事でも記載していますが、デザインの投資対効果を測る効果的な指標は、まだ確立されてはいません。ただし、何らかの形で投資対効果を形にする取り組みは必要です。企業側も、投資の効果が見えなければ、その後さらに追加の投資を決定することはできません。すでに企業が集計・管理している指標をうまく活用し、何らかのKPIを設定することが求められます。

適正販路・チャネル調査と開拓

 上記で述べたように、下請け型の中小企業では、もともと販路を持っていない企業も多く存在します。そのため、4Pに基づいた適正な販路の選定だけでなく、ある程度販路自体を開拓する能力もあることが望ましいでしょう。有力な販路先との接点を事前に持っておくことも必要です。

関連資格

 これら事業運営全体にかかわる関連資格は、中小企業診断士が最も最適な資格といえるでしょう。実戦経験という点はさておき、資格の知識分野としては、上記にかかわる項目は網羅されています。

 

 ③プロジェクト管理能力

 多くの場合、デザインの導入は新規プロジェクトと同様の物と考えることができます。導入から実際の回収まで、一貫してコントロールすることが求められます。

 

ファシリテーションスキル

 デザインの導入に当たっては部門横断的にプロジェクトを進行・統括する必要があるため、組織を調整・まとめる能力も求められます。
 ※ 部門横断的に進めることが重要であることは過去の記事で記載しています。

 

design-management.hatenablog.jp

 

関連資格

 これらの関連資格としてはPMOがあげられます。

PMOとは
PMO (Project Management Office) について
PMOとは"Project Management Office(*1)"の略です。日本語では「プロジェクトマネジメントオフィス」、「プログラムマネジメントオフィス」と一般的に呼ばれます。
PMOは、組織内における個々のプロジェクトマネジメントの支援を横断的に行う部門や構造システムを言います。
一般的なPMOの主な役割は以下の通りです。

プロジェクトマネジメント方式の標準化
プロジェクトマネジメントに関する研修など人材開発
プロジェクトマネジメント業務の支援
プロジェクト間のリソースやコストの各種調整
個別企業に適応したプロジェクト環境の整備
その他付随するプロジェクト関連管理業務

(*1)企業組織やプロジェクト規模によっては、Program Management Office, Portfolio Management Officeと呼ばれることもあります。

 

www.npmo.org

 

知的財産権知識

 デザインの導入に当たっては知的財産の管理も重要であるされています。製品の特性によってどのように知的財産権を組み合わせるかは検討が必要です。デザイン性の良い製品を開発しても、模倣品の登場によって思うような収益をあげられないケースは多く存在します。

 関連する知的財産権としては意匠・商標・著作権などがあげられます。

 

関連資格

  関連資格としては、弁理士や知的財産管理技能士などがあげられます。弁理士や知的財産管理技能士1級は非常に専門性が高い資格ですが、デザインマネジメントコンサルタントとしては、知的財産管理技能士2級程度でいいのではと考えています。それ以上に専門的な事象に関しては、弁理士と協力するほうが現実的ではないかと思います。

事例

 中小企業がデザインを活用する際に、積極的に知的財産権を活用し、成功している事例としては株式会社エンジニアが販売している「ネジザウルス」の事例が参考になります。

www.kjpaa.jp

www.brand-si.com

 

⑤契約管理

 デザインの導入に当たっては、その知的財産権が誰に帰属するのかといった項目は事前にしっかりと取り決めておく必要があります。外部のデザイナーを活用する際には、その報酬の体系もしっかりと決めておくことも必要です。
 加えて、投資効果分析の項目でも記載しましたが、事前に成果指標をうまく設定・提案することができれば、企業側に納得感を持って報酬を支払ってもらうことができるでしょう。そうした工夫も求められます。KPIと連動した中期計画書を作るなど工夫が必要でしょう。

 

⑥素材・加工方法に関する知識

  プロダクトデザインにおいては、その意匠・形状だけでなく、素材に関する知識も必要です。当初想定した素材では、設計状の形状を満たすことができなかったというケースは意外と多くあります。
 実際に製造する前に素材や形状の検証を行うには、各県に設置されている公設試験研究機関を活用することも一つの選択肢です。

都産技研ホームページ トップページ

 

⑦ブランドの構築・管理能力

  デザインは長期にわたって実施し、一貫性を持たせることで、ブランドの構築にもつながります。ブランドが確立されることで、デザインの効果もより高めることができます。
 ブランドに関する関連資格としては、ブランドマネージャー認定制度が存在します。

ブランド・マネージャーとは|一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会|ブランド・マネージメントの資格取得

 

最後に

 今回は大まかに必要となるスキルを項目だしするレベルになりましたが、今後は個別の項目の深堀まで進められればと考えています。